うみがめ第16号

「2つの絆(きずな)」

「2つの絆(きずな)」

愛泉会日南病院 院長 春山 康久

2011年「今年の漢字」第1 位になった「絆」。広辞苑によると、①馬・犬・鷹など、動物をつなぎとめる綱。梁塵秘抄「御厩(みまや)の隅なる飼い猿は絆離れてさぞ遊ぶ」②絶つにしのびない恩愛。離れがたい情実、ほだし。係累。繋縛。とあります。
絆の語源は動物を繋ぎ止める綱(つな)、であり動物にとっては自由を奪われ束縛され迷惑なものであるに違いありません。4 年前の東日本震災直後の被災された人たちのあの整然とした日本人の振る舞いに、全世界の人々が日本人の「絆の深さ」に驚きと称賛の声が上がりました。最近、「絆」に関する東大教授 玄田有史先生の記事を目にしました。希望の役割についての内容です。
「あなたは友だちが多い方だと思いますか」の質問で始まります。
対象が20 ~ 59 歳で、米国では40%、英国は約30%、中国でも約25%が「多い」と回答しています。一方、日本ではわずか約8%でした。友だちが「少ない」「いない」を合わせると60%を超え、他国に比べ突出して多くなっています。「絆」が強いはずの日本で以外な結果と思われました。記事はさらに続きます。

社会学では絆には2種類あるそうです。

1つは家族や親友、恋人など、日ごろからの緊密な交流を伴う「ストロング・タイズ(強い絆)」で、この絆の中で生活することは、安心や幸福の源になるそうです。

もう1つは「ウイーク・タイズ(緩やかな絆)」で、この絆でつながる人々は異なる場所で生活していることも多いけれど実際に会うと、自分と違う情報を持っている分、新鮮な発見や気づきをもたらし、それが希望につながることも多くなります。この絆は気づきや希望の源になるそうです。
社会に安心や幸福を広げるにはストロング・タイズの充実が求められる一方で、希望のためにはウイーク・タイズを広げる機会が大切であるそうです。
「絆を深める」とよく言われますが、特に若者にとって深めるのは「ウイーク・タイズ」であると
思われます。

“Hope is a Wish for Something to Come True by Action”

希望には「気持ち(Wish)」と、自分にとっての大切な「何か(Something)」、それがどうすれば叶うのかという「実現(Come True)」に向けた手立て、そして何より自分の足で「行動(Action)」するという4つの柱から成り立っている。(玄田有史)

(参考文献)
1)玄田有史 希望の役割(4)日本経済新聞 平成27年5月22日
2)希望の作り方 玄田有史 岩波新書 2010年

うみがめ16号(PDFファイル)

  1. 院長コラム
  2. 医師紹介
  3. 療育活動報告

2015.10.21

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