「自然との共存」 院長 春山 康久
「伝説や文献、津波堆積物などに残された地震や津波の痕跡は、未来に起きる災害の『予言』のようなもの。869 年の貞観津波と東日本大震災がそうだった。人間は自然の前に謙虚になり、歴史が伝える教訓に耳を傾けるべきだ。」(梅原猛) 869 年貞観津波と2011 年東日本大震災で起きた津波による浸水範囲が極めて似ているとの発表がありました。歴史は繰り返しました。
先ず、地球誕生の歴史について、地球は今から46 億年前に誕生したといわれております。
火山活動によって地球内部から噴き出した溶岩から地殻ができ、火山ガスの水蒸気が集まって海ができ、水蒸気以外の火山ガスが集まって大気ができたと言われています。火山活動によって地球内部から噴き出した溶岩、水蒸気、火山ガスの量の間にはある比例関係があり、水蒸気を除いた火山ガスの主な成分は二酸化炭素です。地球上に植物があらわれ、その光合性作用によって二酸化炭素から酸素が作られるようになると、もともとは二酸化炭素の多かった大気が現在のような酸素の多い大気になったのです。地球はその劣悪な環境から青い地球が生まれ、生命体が発生、人類が誕生したと考えられています。500 万年前のことです。人類はこのような自然の中で生まれ、生かされていること、共存させて頂いていることを謙虚に受け止めなければならないと思います。地球には幾多の法則が存在し、一定の法則に従って地球は生き、歴史を重ねています。その法則を解き明かすのが科学の進歩であると思います。『自然を支配する』という傲慢な考え方を変えなければ、人類の存続は危うくなります。『自然を支配する』など出来るはずもありません。
地球は46 億年の長い歴史を持っていますが、現世は人類の至福をもたらすはずの科学の進歩とは逆行した地球破壊(オゾン層破壊や地球温暖化など)の危機に見舞われています。
人類にとって科学の進歩とは何か?と疑問を持ちながら、やみくもに進んでいる現在、足を止めて考えてみたい3つの言葉が目に留まりました。
- “ Progress has little to do with speed, but much to do with direction. ”
進歩とは、速度とはほとんど関係がなく、方向と大いに関係があるものです。 - 失敗学で有名な東大名誉教授、畑村陽太郎先生の言葉。東日本大震災は「想定外」であった。だが、「想定」は間違いなくあった。直視してこなかっただけだ。「見たくないものは見ない。考えたくないことは考えない。米国は考えようと努力する国。日本は考えないままにしておく国」。
- 歴史に学ぶ大切さを説いてきた哲学者、梅原猛先生の言葉。「縄文人は自然を尊び、共存していた。現代社会も、自然の恵みを受けるという思想に立ち戻らなくては。エネルギーは太陽や水、風からもらえば良い。これから日本がどう生きるか。勇気を持って、日本独自の哲学を世界に語ろうと思う」。
(参考)
1) Newton Press 地球を考える本 竹内仁著 2001年
2) 「遺跡からの警告」 梅原猛 宮崎日日新聞 平成24年3月19日
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2012.06.01
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