社会福祉法人 愛泉会日南病院

広報誌:うみがめ

うみがめ第7号

投稿日:2012.6.1

うみがめ第7号「自然との共存」 院長 春山 康久

「伝説や文献、津波堆積物などに残された地震や津波の痕跡は、未来に起きる災害の『予言』のようなもの。869 年の貞観津波と東日本大震災がそうだった。人間は自然の前に謙虚になり、歴史が伝える教訓に耳を傾けるべきだ。」(梅原猛) 869 年貞観津波と2011 年東日本大震災で起きた津波による浸水範囲が極めて似ているとの発表がありました。歴史は繰り返しました。

先ず、地球誕生の歴史について、地球は今から46 億年前に誕生したといわれております。

火山活動によって地球内部から噴き出した溶岩から地殻ができ、火山ガスの水蒸気が集まって海ができ、水蒸気以外の火山ガスが集まって大気ができたと言われています。火山活動によって地球内部から噴き出した溶岩、水蒸気、火山ガスの量の間にはある比例関係があり、水蒸気を除いた火山ガスの主な成分は二酸化炭素です。地球上に植物があらわれ、その光合性作用によって二酸化炭素から酸素が作られるようになると、もともとは二酸化炭素の多かった大気が現在のような酸素の多い大気になったのです。地球はその劣悪な環境から青い地球が生まれ、生命体が発生、人類が誕生したと考えられています。500 万年前のことです。人類はこのような自然の中で生まれ、生かされていること、共存させて頂いていることを謙虚に受け止めなければならないと思います。地球には幾多の法則が存在し、一定の法則に従って地球は生き、歴史を重ねています。その法則を解き明かすのが科学の進歩であると思います。『自然を支配する』という傲慢な考え方を変えなければ、人類の存続は危うくなります。『自然を支配する』など出来るはずもありません。

地球は46 億年の長い歴史を持っていますが、現世は人類の至福をもたらすはずの科学の進歩とは逆行した地球破壊(オゾン層破壊や地球温暖化など)の危機に見舞われています。

人類にとって科学の進歩とは何か?と疑問を持ちながら、やみくもに進んでいる現在、足を止めて考えてみたい3つの言葉が目に留まりました。

  1. “ Progress has little to do with speed, but much to do with direction. ”
    進歩とは、速度とはほとんど関係がなく、方向と大いに関係があるものです。
  2. 失敗学で有名な東大名誉教授、畑村陽太郎先生の言葉。東日本大震災は「想定外」であった。だが、「想定」は間違いなくあった。直視してこなかっただけだ。「見たくないものは見ない。考えたくないことは考えない。米国は考えようと努力する国。日本は考えないままにしておく国」。
  3. 歴史に学ぶ大切さを説いてきた哲学者、梅原猛先生の言葉。「縄文人は自然を尊び、共存していた。現代社会も、自然の恵みを受けるという思想に立ち戻らなくては。エネルギーは太陽や水、風からもらえば良い。これから日本がどう生きるか。勇気を持って、日本独自の哲学を世界に語ろうと思う」。

(参考)
1) Newton Press 地球を考える本 竹内仁著 2001年
2) 「遺跡からの警告」 梅原猛 宮崎日日新聞 平成24年3月19日

うみがめ第7号(PDFファイル)

  1. 松かぜ
  2. 院長コラム
  3. 医師紹介
  4. 愛泉会日南病院における一般病棟医療について
  5. 職員紹介
  6. 療育活動報告
  7. 診療日程

うみがめ第6号

投稿日:2011.12.15

うみがめ第6号「備える」ということ 院長 春山 康久

「備える」ということはどういうことでしょうか。広辞苑によれば 1. 物事に対する必要な準備をととのえる。用意する。 2. 物を不足なくそろえておく。設備として持つ。 3. 欠ける所なく身につける。自身のものとして保持している等の意味があります。備えの例としては 1. 災害(地震等)に備える。 2. 万一(病気)に備える。 3. 資格を備える、等があげられます。

「備え」を実践し成功した話。サッカー日本代表の川島永嗣選手、著書「準備する力」から一部を紹介します。彼のポジションはゴールキーパー。サッカー日本代表の守護神として鬼気迫るファインセーブを連発、ファンを魅了して止みません。現在はベルギー・リールセに所属し今年の10 月から主将を務めています。多国籍チームで10 カ国以上の選手が集まって、オランダ語、フランス語、英語、ドイツ語が飛び交うそうです。キーパーにはコーチングという仕事があり、試合中にディフェンスに大声で指示を与えながら、ポジションを修正し、試合を組み立てる重要な役割があります。自分がどうして欲しいか伝える手段として言葉が必要になります。川島選手は海外移籍という目標を掲げ、海外で成功するための重要なツールとして語学をあげました。今では英語、イタリア語であれば日常生活、チームのミーティング、ピッチレベルの会話では困らない程度は使いこなし、元気に活躍しています。

ちなみに、「備える」の反対語は何でしょうか。「備えていない」、すなわち、「持たない」ということになるでしょう。「持たない」ということは、 1. 必要品・武器などを持たない。免許証不携帯、丸腰。 2. 才能・能力などを持たない。力が不足、不十分。 3. 事態・状況などが持たない。維持できない、支えきれない、持ちこたえられない、ということです。

うみがめ第6号(PDFファイル)

  1. 松かぜ
  2. 院長コラム
  3. 職員紹介
  4. 重心病棟紹介
  5. 療育活動紹介
  6. みんなの作品コーナー
  7. 編集後記

うみがめ第5号

投稿日:2011.5.16

うみがめ第5号「理想郷(ユートピア)を求めて」 院長 春山 康久

重症心身障害児施設(重心児施設)は全国に194施設あり、約1万9千人とも言われる障害児(者)が入所しています。昭和36年5月、日本初の重心児施設である島田療育園(現島田療育センター)の開設は歴史にみられる通り、困難の連続でありました。障害者に対する差別や偏見で、時に経済的な事情でその経営が危ぶまれたこともあったといいます。50年前の多摩村(現多摩村市)は文字通り農村で、鬱蒼と茂る森には大きな蛇やウサギが生息し、戦時中には都心からの疎開者も少なくなかったそうです。

1967(昭和42)年旧厚生省は国立療養所の結核病棟が、患者の減少で「空床」が目立つので、この病棟の利用転換ということで、重心児病棟を開棟させることにしました。そして全国各地の国立療養所で重心児病棟がつくられ、在宅児が入所していきました。日本の重心児対策が「放置」から「収容」へと歴史的転換を遂げました。しかし初期の「収容」の実態はきびしく、病院システムということで、この子らにベットの空間を保証すればよいといった形で建物が作られていて、発達に必要な空間は保障されませんでした。入所の条件は就学猶予・免除をしている子に限るとされていました。

これまでの史実から、当然のことながら重心児施設は人里離れた場所に建設され、一般社会から隔離されていたことがわかります。愛泉会日南病院は平成14年、旧国立療養所日南病院から移譲を受けやがて10年目を迎えます。平成23年10月には施設の増改築が始まる予定です。建設にあたり「社会に開かれた病院」をコンセプトに掲げました。一般社会の子ども達が重症心身障害児(者)とふれあうことによって社会の中の偏見が取り除かれ、人の命の大切さを知ってもらう、そのような病院を目指しております。「重症心身障害児(者)にとっての理想郷とは?」今後とも求め続けていきたいと思います。

うみがめ第5号(PDFファイル)

  1. 松かぜ
  2. 院長コラム・看護部長紹介
  3. 病院外来紹介
  4. 療育活動紹介
  5. 院内行事紹介・編集後記

うみがめ第4号

投稿日:2010.12.1

うみがめ第4号「待つ」ということ 院長 春山 康久

「できるだけ早く、目に見える成果を」出そうとする子育て。それを成功している教育が善しとされる風潮。「待てない教育」、「待てない子育て」が、今、この国に蔓延しつつあると思えてならない。これは、「待てない時代にどう育てるか~人間教育を育てるもの~」というタイトルで当時恵泉女学園(東京都)の校長をされていた安積力也先生の言葉です。本来子どもは「桃栗三年柿八年」なのに、「出来るだけ速く、目に見える成果を上げる教育」を親も教師も求めてしまう現状に問題提起をされたものであり、子どもの「内発性*」が育つためには「待つ」ことが必要であると言っておられました。

先の重症心身障害療育学会に出席し、重症心身障害児(重心児)とのコミュニケーションづくりで「待つ」ことの意義を発表した報告を聴く機会がありました。重心児との関係において、重心児の反応を待つべき時に焦って次の言葉をかけてしまう。重心児とのやり取りのなかで、重心児の反応を待つことで重心児の自発性が誘発され、表現の変化や伝達手段が獲得できたという報告でありました。

政治や経済の領域では待てない、即断を求められることもありますが、ふたつの出会いから教育、療育の現場では「待つ」という姿勢が必要で、待つことで育つもの、待たなければ育たないものがあるということを教えられました。

うみがめ第4号(PDFファイル)

  1. 松かぜ
  2. 院長コラム・医師紹介
  3. 病棟・外来紹介
  4. 療育活動紹介
  5. 診療科新設のお知らせ
  6. 各病棟行事
  7. 編集後記

うみがめ第3号

投稿日:2010.5.1

うみがめ第3号『こころって、何だろう 生きることのすばらしさ』 院長 春山康久

『兄は日本脳炎にかかり、手足は硬直し、言葉を奪われ、まったく寝たきりのオムツの生活になった。言葉を奪われて、考えているのかいないのかわからない状態になった。でもその兄によって、私たちがいろいろ考えたり兄と話し合った―直接話し合ったわけではないけれど、兄とこころで会話をしていた。母は、辛い時や何かあった時に「次郎さんどう思う?」と兄と話していた。兄にもこころは絶対あったと思うんです。泣いたり笑ったりしていましたし、あれもこれもできないことは多かったけれど、こころがあることによって人間として生きている。本当に人間の生きているすばらしさだと思ったのです』

これは女優の檀ふみさんが全国重症心身障害児(者)を守る会会長北浦雅子さんとの対談の中で述べられたものです。重心児の兄は喋れなかったけれどこころがあった。家族は兄とこころで会話をかわした。兄はこころがあることによって人間として生きていた。檀ふみさんは兄を通じて本当の人間の生きているすばらしさを感じとられたそうです。こころは目でみることはできません。こころは感じるもの、伝わってくるもの、そして見つけるものだと思います。こちらに見つけるこころがなければ重心児(者)のこころは見つけられません。施設の職員のみなさんには重心児(者)とこころの会話が出来る人であってほしいと思います。

うみがめ第3号(PDFファイル)

  1. 松かぜ~作品ギャラリー~
  2. 院長コラム・医局長あいさつ
  3. 病院病棟紹介
  4. 外来診療日程表
  5. リハビリテーション
  6. 療育活動紹介
  7. 院内行事紹介・編集後記
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広報誌:うみがめ

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