社会福祉法人 愛泉会日南病院

広報誌:うみがめ

うみがめ第13号

投稿日:2014.7.28


「ヒトには幸せを感じると2つのホルモンが分泌される」 院長 春山 康久

2014年2月、ソチオリンピックの女子フィギュアスケート、日本の浅田真央選手は前半のショートプログラムでまさかの失敗にめげず、後半のフリーで歴代最高得点をあげ個人総合6位に入賞しました。この時の浅田選手の渾身の演技に多くの日本国民が感動しました。感動という感性は精神機能の一つでありますが、外的刺激に対する、脳、自律神経系、内分泌系、免疫系など生理反応を指標とした感性科学研究があります(綿貫茂喜)。今回は、ヒトが感動した時に体内に分泌されるホルモンについてのお話です。ヒトには幸せを感じると分泌される2つのホルモンがあるといわれております。

●セロトニン
セロトニンは、必須アミノ酸のトリプトファン(赤身の魚やチーズに含まれています)から産生され、生体リズム・神経内分泌・睡眠・体温調節などの生理機能をもちます。また気分障害・統合失調症・薬物依存などの病態に関与し、特に感動したり、幸せな気分を感じる時に分泌され、うつ病の治療薬になっています。セロトニンがつくられるための条件として、太陽の光、運動(リ
ズム運動)、グルーミングの3 つが必要であるといわれております。グルーミングとは、もともとは動物が「毛づくろい」することですが、人間同士でのグルーミングは人と人とのスキンシップをすることです。身の回りの自然に興味を持ち、感動する。感動すると、「幸せホルモン」といわれるセロトニンが分泌されます。(鎌田實)

●オキシトシン
オキシトシンは生理作用として2つの役割があり、女性だけが分泌するホルモンといわれてきました。ひとつは平滑筋の収縮に関与し、分娩時に子宮を収縮させます。陣痛促進剤として使用されることもあります。二つ目は分娩後、乳腺に作用して乳汁分泌を促す作用です。オキシトシンは哺乳類だけが持っているホルモンで、最近、心が癒される、幸せな気分になるという効果がある「幸福ホルモン」として注目されています。オキシトシンが十分に分泌されていると、脳の疲れを癒し、気分を安定させ、人に対する信頼感が増し、心地よい幸福感をもたらしてくれる訳です。セロトニンが「自分を幸せにする」ホルモンなら、オキシトシンは「ほかの誰かを幸せにする」ホルモンであるといえます。その後の研究でオキシトシンは母親だけが分泌するものではなく、母親になっていない女性も、また男性も年齢に関係なく普遍的に分泌されていることがわかってきました。オキシトシンとセロトニンは相互に関係していて、オキシトシンが分泌されるとセロトニン神経に影響を与え、セロトニン神経も活性化されます。オキシトシンとセロトニンが十分に分泌される生活は、心の疲れを癒し、心に充足を与えてくれるのです。ところが、人間関係が希薄になるとオキシトシンが分泌されない社会環境になってしまいます。

「本来、人間は一人で充足して暮らすことはできないのです。人間は社会的な生き物です。孤立して生きるのは、社会的には無理ですし、人間の脳もそうはできていないのです。人と関わることで分泌されるオキシトシンによって、人は癒され、気分が満たされ、ほのぼのとした幸福感を感じることができるのです。オキシトシン分泌のカギを握っているのは、基本的に他者との関係であり、いい人間関係こそが疲れを癒し、脳も体も元気にする源泉である」(有田秀穂)

最後にオキシトシン分泌を促し、心が満たされる方法として、①親切をする ②感動する ③感情を表出する ④家族団らん ⑤マッサージを受ける等があるそうです。

うみがめ第13号(PDFファイル)

  1. 院長コラム
  2. 療育活動報告
  3. 相談支援事業所の紹

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